外国人を海外から採用するとき、「住居は会社が用意しなければならないのか」と悩む企業は少なくありません。

結論として、特定技能1号では住居確保の「支援」が必要ですが、必ず会社名義で社宅を用意する必要はありません。一方、技人国では原則として会社に住居を用意する義務はありません。

在留資格によって対応が大きく異なるため、採用前に整理しておきましょう。

結論

製造業で海外採用する場合、特定技能と技人国では次のように考えます。

項目特定技能1号技人国
住居確保の支援必要原則として義務なし
社宅を会社が用意必須ではない必須ではない
本人名義で賃貸契約可能可能
住居探しのサポート義務的支援の対象法定義務ではない
保証人等への対応必要に応じて支援原則として本人対応
登録支援機関への委託可能通常不要

特に間違えやすいのが、「特定技能=会社がアパートを借りて無料で住ませる必要がある」わけではないという点です。

特定技能1号では「適切な住居の確保に係る支援」が義務的支援に含まれています。住居探しの補助や、必要な場合の保証人・保証会社への対応などが求められます。(法務省)

外国人採用の住居でよくある課題

海外採用では本人だけで契約するのが難しい

海外から初めて日本へ来る外国人の場合、日本に住みながら部屋を探す人とは事情が異なります。

例えば、

  • 日本国内の連帯保証人がいない
  • 日本語で不動産会社と交渉できない
  • 日本の銀行口座をまだ持っていない
  • 日本の賃貸ルールが分からない
  • 来日前なので内見できない

といった問題があります。

そのため、法律上の義務があるかどうかとは別に、海外採用では企業側がある程度サポートしたほうが入社までスムーズです。

特定技能と技人国を同じ運用にしない

前の記事で説明したように、製造業では現場業務なら特定技能、設計・開発などの専門業務なら技人国が候補になります。

住居についても在留資格によって企業側の対応が異なります。

特に特定技能1号には支援計画に基づく支援義務があるため、技人国と同じ感覚で「部屋は自分で探してください」とだけ伝える運用には注意が必要です。(法務省)

外国人採用における住居問題の解決策

企業側では、次の4つの方法を検討するとよいでしょう。

  • 会社の社宅・寮を提供する
  • 会社が賃貸物件を借りて提供する
  • 外国人本人が賃貸契約し、会社側が必要な支援をする
  • 登録支援機関に特定技能1号の支援を委託する

どの方法が適しているかは、採用人数や勤務地によって異なります。

例えば毎年10〜20人程度を同じ工場で採用するなら、社宅をまとめて確保する方法も考えられます。

一方、1〜2人だけ採用するのであれば、本人名義で契約できる物件を探す方法もあります。

特定技能の住居を準備する具体的な方法

特定技能1号では、必ずしも「会社が部屋を契約する」必要はありません。

出入国在留管理庁が示している支援方法には、大きく次の3パターンがあります。(法務省)

1.本人が賃貸契約する

不動産会社や物件情報を提供し、必要に応じて住居探しや契約手続きをサポートします。

連帯保証人が必要で、適切な保証人がいない場合には、企業側が保証人になる方法があります。

また、利用できる家賃債務保証会社を確保し、企業側が緊急連絡先になる方法も示されています。(法務省)

2.会社が借りた物件を提供する

会社側が賃貸借契約を締結し、外国人本人の合意を得たうえで住居として提供する方法です。

海外採用では、この方法にすると来日前から住居を確保しやすくなります。

3.会社の社宅を提供する

すでに会社が所有している社宅や寮があれば、本人の合意を得て提供する方法もあります。(法務省)

つまり、「社宅を用意すること」が義務なのではなく、「適切な住居を確保できるよう支援すること」が重要です。

外国人採用の住居で失敗しやすいポイント

「家賃は会社負担」と思い込む

住居を確保することと、会社が家賃を全額負担することは別問題です。

「特定技能だから家賃無料にしなければならない」と考える必要はありません。

ただし、外国人本人に負担させる費用については、内容を事前に明確に説明することが重要です。

来日してから住居を探す

海外採用の場合、来日後に初めて住居探しを始めると、勤務開始までに時間がかかる可能性があります。

特に複数人を一度に採用する場合は、

COE・査証手続き → 来日 → 住居探し

と完全に順番で進めるのではなく、

COE等の手続きと並行して住居候補を準備する

ほうがスムーズです。

外国人の住居確保を成功させるコツ

製造業で海外採用する場合は、採用決定時点で次の項目を確認しておきます。

住居準備チェックリスト

  • □ 特定技能か技人国か確認した
  • □ 入居予定日を決めた
  • □ 会社契約・本人契約のどちらにするか決めた
  • □ 初期費用の負担者を決めた
  • □ 毎月の家賃負担を決めた
  • □ 水道・電気・ガス等の手続きを確認した
  • □ 家具・家電の準備方法を決めた
  • □ 通勤方法と通勤時間を確認した
  • □ 特定技能1号の場合は支援計画との整合性を確認した

特に重要なのが、誰が何を支払うのかを入社前に説明することです。

給与から家賃などを控除する運用を予定している場合も、労務面を含め適切な処理になっているか確認しておきましょう。

外国人採用における住居準備の事例

例えば、製造会社が海外から5名採用するとします。

特定技能5名の場合

会社が工場近くのアパートを確保し、来日前に入居準備を進めます。登録支援機関を利用する場合は、住居確保を含む支援について役割分担を決めます。

技人国のエンジニア1名の場合

会社による住居提供を必須にせず、本人が希望するエリアで物件を探す方法も考えられます。

ただし、海外から初めて来日する人材なら、技人国でも会社が不動産会社を紹介したり、社宅を一定期間提供したりすると入社しやすくなります。

技人国の外国人についても、入居拒否や保証人確保など、住居探しで困るケースがあることが出入国在留管理庁の調査で示されています。(法務省)

外国人採用の住居に関するよくある質問

Q1.特定技能なら会社がアパートを契約しないといけませんか?

必ずしも会社名義で契約する必要はありません。

本人が契約する方法、会社が借りて提供する方法、社宅を提供する方法などがあります。重要なのは、特定技能1号で求められる適切な住居確保の支援を実施することです。(法務省)

Q2.特定技能の家賃は会社負担ですか?

会社が全額負担しなければならないという意味ではありません。

会社と本人の負担関係を明確にし、本人に費用負担がある場合は事前に説明しておくことが重要です。

Q3.技人国でも社宅を用意したほうがよいですか?

法定の義務的支援という位置づけではありませんが、海外採用では用意するメリットがあります。

例えば「入社後1〜3ヶ月は会社の社宅、その後は本人が好きな物件を契約する」という運用も考えられます。

Q4.登録支援機関に住居探しを任せられますか?

特定技能1号では、支援計画に基づく支援を登録支援機関へ委託することができます。(法務省)

委託する場合は、物件探しから契約、入居まで、どこまで対応してもらえるのか事前に確認しましょう。

まとめ

外国人採用の住居については、次の3点を押さえておきましょう。

  • 特定技能1号は住居確保の支援が必要
  • 会社が必ず社宅を用意するという意味ではない
  • 技人国は原則として会社による住居確保の義務的支援はないが、海外採用ではサポートすると入社がスムーズ

特に製造業で特定技能を海外から採用する場合は、在留資格の手続きだけでなく、住居・生活環境まで含めて来日前から準備することが重要です。

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